15歳以上の人を対象にストレスの有無を調査すると、約半数がストレスを感じているという結果が報告されています。厚生労働省による「国民生活基礎調査(2019年)」においては、年代別に見ると、30~50代の男性の約50%、女性の約60%はストレスを抱えていることが分かっています。
では、どんなことがストレスの原因(悩み)となっているのでしょうか?
最も多いストレスの原因は「自分の仕事」、次いで「収入・家計・借金等」が多くを占めます。その他にも、「自分の病気や介護」、「家族の病気や介護」といった健康上の問題や「家族以外との人間関係」といった問題に悩む方も多いことが分かっています。
特に春先は気候の変化に加えて、生活環境の変化が起きやすい時期にあたるので、体調を崩すことも少なくありません。気候の変化もストレスの原因になることがあります。
極度の緊張が起きると、交感神経が刺激されるので胃粘膜の血管が収縮します。その結果、血液の流れが悪くなって粘膜細胞への栄養の供給が止まり、胃の粘膜の修復機能が低下する上に、胃の粘膜を保護する粘液の分泌が少なくなるため、ダメージを受けやすくなります。
さらに、交感神経のバランスが乱れると副交感神経が過度に刺激されて胃酸などの分泌が活発になることも少なくありません。
このように、ストレスを感じると胃内で胃酸などの攻撃因子と胃粘液などの防御因子の分泌バランスが崩れてしまい、胃粘膜への刺激が強くなり胃痛や胸焼けなどの不快症状が起きるのです。
食生活上の工夫として、刺激物やアルコールは避けて胃に優しいメニューを選びましょう。胃の粘膜を正常な状態に保つビタミン類などの栄養をしっかり摂ることも大切です。また、胃痛や胸焼けなどの症状には、胃粘膜を保護し出過ぎた胃酸の働きを抑える胃薬や胃酸を中和する胃薬などを試すのも良いでしょう。
ただし、生活習慣に注意したり市販の胃薬を試したりしても症状が改善しない場合は軽く考えずにできるだけ早めに医療機関を受診して下さい。
監修
2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の診療を行ってきた。自身は二児の母。育児中は医療行政に関わり、国立保健医療科学院や結核研究所で感染症対策などを含めた公衆衛生分野の研鑽に励んだ。
まとめ
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