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トリプタン製剤の切り替え理由

第三次医療施設における片頭痛患者のトリプタン製剤の使用実態および薬剤切り替えの理由

Summary based on article by Sheftell FD, et al. Headache 2004; 44: 661-668

※下記内容は海外文献に基づくものであり、国内承認外の内容が含まれています。

Key Points

  • 専門施設で治療を受けている片頭痛患者386例の臨床記録を解析した結果、トリプタン製剤の切り替えには、有効性、効果発現までの時間、効果のバラツキ、有害事象などといった多くの理由が関与していることが示された。
  • 8種類のうち6種類の製剤において、「症状の改善が不十分もしくは、ない」ということが薬剤を切り替えた理由として最も多くあげられた理由であった。残りの2製剤(スマトリプタン100mg錠とスマトリプタン皮下注射薬)については、有害事象が薬剤切り替えの理由として最も多くあげられた。
  • リザトリプタン10mg、スマトリプタン点鼻スプレー、またはスマトリプタン皮下注射薬を最初に服用した患者群において、「他のトリプタン製剤の方が優れた薬剤であるかどうかを試したい」を薬剤切り替えの理由としてあげた患者の割合は、他のトリプタン製剤を最初に服用した患者群よりも有意に少なかった。

はじめに

トリプタン製剤(5-HT1B/1D受容体作動薬)は片頭痛急性期の中等度〜重度の発作に対する第1選択薬であり、さまざまな用量と剤形(経口錠、口腔内崩壊錠、点鼻スプレー(NS)、皮下注射薬(SC))のものが米国においては入手可能である。各トリプタン製剤には類似点もあるが、血中濃度半減期、最高血中濃度到達時間、最高血中濃度、血中濃度-時間曲線下面積(AUC)、代謝、薬物間相互作用などといった薬理学的特性に差異が認められる。トリプタン製剤の有効性については複数の無作為化比較試験によって検討されているが、それぞれの製剤に対する患者の好みに関して影響を及ぼしている特性については明らかではない。本研究では、専門施設で治療を受けている片頭痛患者を対象に、患者がトリプタン製剤を切り替えた理由を検討した。

対象・方法

患者

国際頭痛学会の診断基準(1988年)による片頭痛を有する外来患者386例を本研究の解析対象とした。被験者は片頭痛の急性期治療にトリプタン製剤を使用中であり、過去に1種類以上の別のトリプタン製剤もしくは別の剤形のトリプタン製剤を服用した経験があることとした。

試験デザイン

2002年2月から2002年7月にかけて、臨床記録および頭痛カレンダーのデータを米国内の第三次医療施設の頭痛センターから取得した。すべての被験者は1年以上追跡観察され、以下のような情報を取得した:
服用中のすべての薬剤(薬剤名、用量、服用スケジュール、服用している期間、症状改善の程度、有害事象)、過去に服用したすべての頭痛治療薬に関する同様の情報、すべての治療薬について服用を中止した理由。

評価項目

臨床記録の解析後、臨床的に重要なすべての情報を以下の項目からなる標準的な形式に要約した:
(1) 患者背景、(2) 過去における薬物治療、(3) 服用されたすべてのトリプタン製剤/剤形について、患者の満足度、そのトリプタン製剤/剤形を服用していた期間、服薬を中止した理由に関する情報、(4) ある薬剤を服用していた患者で他剤に切り替え、元の薬剤の服用に戻った患者の数、(5) スマトリプタンを服用していた患者で剤形を切り替えた患者の数、(6) 最後に服用されていたトリプタン製剤。

データ解析

データの解析はStata(Intercooled Stata 6.0 for Windows, College Station, TX)を用いて行い、統計学的有意差の検討には表記した場合を除き、χ²検定を用いた。

結果

患者背景

386例の被験者のうち339例(87.8%)が女性であり、年齢は13〜69歳(平均37.7歳)であった。追跡観察期間は1〜9年(平均3.3年)であった。前兆のない片頭痛は285例(73.8%)、前兆のある片頭痛は69例(17.8%)、前兆のあることもあればないこともある片頭痛は32例(8.4%)に認められた。頭痛センターでの治療中に被験者が服用したトリプタン製剤を表1に示す。アルモトリプタンは症例数が少ないため、解析から除外した。

表1:治療期間を通じて服用されたトリプタン製剤
表1

[ Reproduced with permission ]

トリプタン製剤を切り替えた理由

被験者がトリプタン製剤を切り替えた理由を表2に示す。スマトリプタン25mg錠を最初に服用した患者群においては、「他のトリプタン製剤の方が優れた薬剤であるかどうかを試したい」を切り替えた理由としてあげた患者の割合が、スマトリプタン50mg錠、スマトリプタン100mg錠、スマトリプタン20mg NS、スマトリプタンSC、ゾルミトリプタン5mg、リザトリプタン10mg、またはナラトリプタンを最初に服用した患者群よりも有意に多かった()。このことを切り替えた理由としてあげた患者の割合は、リザトリプタン10mg、スマトリプタンNS、またはスマトリプタンSCを最初に服用した患者群において、他のトリプタン製剤を最初に服用した患者群よりも有意に少なかった。

「症状改善が不十分もしくは、ないこと」を理由としてあげた患者の割合は、スマトリプタン25mg、またはスマトリプタン50mgを最初に服用した患者群で多く、スマトリプタンSCを最初に服用した患者群で少なかった。

「有害事象」を理由として切り替えた患者の割合は、スマトリプタン100mg、スマトリプタンNS、またはスマトリプタンSCを最初に服用した患者群で多く、ゾルミトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタン、スマトリプタン25mg、またはスマトリプタン50mgを最初に服用した患者群で少なかった。

表2:トリプタン製剤/剤形を切り替えた理由:症例数(%)

表2

[ Reproduced with permission ]

図:薬物治療を切り替えた理由として「他のトリプタン製剤の方が優れているか
   どうかを確かめてみたかった」をあげた片頭痛患者の割合

図

[ Reproduced with permission ]

最後に服用されていたトリプタン製剤

スマトリプタンSCを最初に服用して他の薬剤/剤形に切り替えた患者のうち、19.5%はスマトリプタンSCの服用に戻っていた。他の薬剤について、切り替え後に元の薬剤に戻った割合は、スマトリプタン25mg:7.8%、スマトリプタン50mgまたは100mg:42.3%、スマトリプタンNS:17.7%、ゾルミトリプタン:17.6%、リザトリプタン:16.5%、ナラトリプタン:9.4%であった。3種類以上の薬剤/剤形を服用した患者において、最後に服用されていたトリプタン製剤は、スマトリプタン:29.5%、ゾルミトリプタン:31.8%、リザトリプタン10mg:25.0%、ナラトリプタン:12.5%であった。

結論

第三次医療施設における頭痛治療を対象にトリプタン製剤の使用実態を解析した結果、薬物治療に関するさまざまな特性がトリプタン製剤の使用実態と薬剤の切り替えに影響を及ぼしていることが示された。薬剤の切り替えに最も大きな影響を及ぼしていたのは、薬剤の有効性であった。薬剤の有効性は複数の無作為化比較試験によって厳密に検討されているが、このような有効性は多くの場合、患者の薬剤に対する好みと相関していることが示唆される。しかし一方では、薬剤の切り替えや服薬コンプライアンスを決定する要因は多次元的なものであることも本研究から示唆され、そのような要因に関する情報は、有効性の検討を目的とした従来の無作為化比較試験からは得られにくいものと考えられる。

 ※リザトリプタンのご使用に際しては添付文書をご参照ください。