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片頭痛の病態と誘発因子

さまざまな症状を有する片頭痛

片頭痛の症状については『頭痛の分類:片頭痛』にあるとおりですが、診断基準を十分に満たす患者さんばかりではありません。典型的な「頭の片側でズキンズキンと痛む拍動性頭痛」であるとは限らないのです。緊張型頭痛に多いと考えられていた随伴症状の一つ、肩凝りを有する片頭痛患者は、実に75%にのぼるとの報告があり、肩凝り=緊張型頭痛と安易に決め付けることはできません。また、片側だけでなく両側性の頭痛が40%、非拍動性が50%、ストレスによる誘発(緊張型頭痛に多いとされる)が72%もあるといいます。診断の際には、丁寧な問診が必須となります。

片頭痛の診断でポイントとなるのは、頭痛が数日から数週間の間を置いて現れる発作性で、家事や階段昇降などの日常生活動作で痛みが増強する、悪心(吐き気)・嘔吐を伴う、光過敏・音過敏があるかどうか等の点です。

これらの点に注意しながら、問診を行いましょう。

片頭痛の病態とセロトニンの異常の関与

片頭痛の病態生理はいまだに解明されてはいませんが、病態仮説として最も有力なのが、「三叉神経血管説」です。何らかの刺激で頭蓋内血管に分布する神経終末が刺激されると、血管作動性物質が放出され、血管が拡張し、無菌性の炎症が引き起こされ、炎症反応が次々に血管を広がっていきます。この刺激による興奮が脳に伝えられて悪心・嘔吐などの随伴症状や頭痛を引き起こすと考えられています。神経ペプチドの中でもとりわけ、セロトニンやその受容体、特に脳血管に多く分布する 5-HT 1B/1D 受容体に関連したものや、血管拡張性物質である calcitonin generelated peptide(CGRP) が密接に関与している可能性が強いとされています。

片頭痛治療薬のトリプタン製剤は、セロトニン1B受容体に作用し、拡張した血管を収縮させます。さらにセロトニン1D受容体に作用して、血管拡張性の神経ペプチドの放出を抑制することにより、片頭痛の症状を消失させます。

片頭痛の誘因

片頭痛の誘発因子としては、下記のものがあります。1)

[精神的因子]
ストレス、精神的緊張、疲れ、睡眠不足、睡眠過多
[内因性因子]
月経周期
[環境因子]
天候の変化、温度差、気圧、人ごみ
[食事性因子]
アルコール、他の食品群

片頭痛患者の中には、特定の状況下で発作が起こりやすいことを認識している人も多く見受けられます。そのような誘発因子を除去することは、片頭痛の予防につながることから、発作が起こる直前の状態を聴取することは有用です。また、女性の片頭痛患者の多くに、月経と頭痛との関係が推定されます。睡眠は不足でも過多でも、片頭痛の誘因となりえますし、天候の変化でもたらされる片頭痛は、気圧の変化が関係していると考えられています。

頭痛の誘因となる食品

頭痛の誘因となる食品は数多くありますが、それらの食品中に含まれる物質が、血管作動作用をもたらすために起こります。 血管作動作用には、血管拡張作用と血管収縮作用があり、どちらも片頭痛発作の誘因となりえます。

血管拡張作用を有する食品・物質

  • アルコール飲料、特に赤ワイン(ヒスタミン様物質、アルコール、ポリフェノール)
  • ベーコン、ソーセージ(亜硝酸化合物)
  • アスパルテーム(甘味料)

血管収縮作用を有する食品・物質

  • チョコレート、ココア(チラミン、ポリフェノール、カフェイン)
  • チーズ、柑橘果物(チラミン)
  • スナック菓子、うまみ調味料など(グルタミン酸ナトリウム)
  • コーヒー、紅茶、緑茶など(カフェイン)

片頭痛の誘発因子となる食品の代表的なものは赤ワイン、チョコレート、チーズ等です。これらの食品に共通する片頭痛誘発物質は、チラミンなどのアミンです2)。また、中華料理に多量に含まれるうまみ調味料の成分、グルタミン酸ナトリウムによって頭痛が誘発されることも多く、「チャイニーズレストランシンドローム」と呼ばれています。 飲酒も片頭痛の有力な誘発因子となりますが、それ以外の飲食物が片頭痛の誘発因子となるかどうかは疑問の多いところです。患者さんが個人的に誘因と考えている飲食物以外については、あまり神経質になる必要はありません。バランスの良い食生活を心がけることが大切です。

アレルギーと頭痛発作

アレルギーとの関連は明らかではありませんが、気管支喘息や、シックハウス症候群に関連した、揮発性有機化合物の過敏症による片頭痛発作の報告があります3)。また、アレルギー性鼻炎の憎悪時に片頭痛が激しくなる場合もあります。

ホルモンと頭痛発作

月経前には女性ホルモン(エストロゲン)の血中濃度が下がってきます。このことが引き金となって片頭痛発作が起こると考えられています。月経のときに起こる片頭痛は、それ以外の時期に起こるものと比べて痛みが強く、持続時間も長いため、薬が効きにくい傾向にあります。

睡眠と天候

頭痛と天候・気候は密接な関係があり、明るさや自律神経機能とも関係が深いと考えられています。明るい、日差しの強い時期(春〜秋)には、片頭痛が多い傾向があるとの報告があります4)。特に前兆のある患者さんには、発作のない時期にも光過敏が認められ、サングラスを必要としたり、また、低気圧の気象後に頭痛発作が多い傾向も認められています5)

参考文献

1)
日本頭痛学会:P65 , II 片頭痛 II-1-5 片頭痛の誘発因子としてどんなものがあるか , 慢性頭痛の診療ガイドライン , 医学書院 , 2006.
2)
Blumential, H.J. and Vance, D. A. : Headache, 37 : 665-666, 1997.
3)
渡邊美砂, 向山徳子 : アレルギー・免疫, 7 : 1364-1371, 2000.
4)
Alstadhaug, K. B. et al. : Cephalalgia, 25 : 811-816, 2005.
5)
星野綾美・他 : 日本温泉気候物理医学界雑誌, 68 : 150-154, 2005.